会員活動報告
ホーム > 会員活動報告 > チェンマイ大学での貢献(2):伊藤信孝 チェンマイ大学客員教授・工学部

チェンマイ大学での貢献(2):伊藤信孝 チェンマイ大学客員教授・工学部

● ホーエンハイム大学との連携講義   
チェンマイ大学と関係を有するドイツの大学との関係から、毎年3時間ほどの講義担当を依頼され実施している。いくつかの内容を体系化した中の一部を講義担当している。対象学生はインターナショナルでアジア・ヨーロッパからの留学生で、年度に寄り異なるが全体で10名程度である。 講義の内容としては筆者が提唱しているグローバル・テトラレンマを序論とし、急増する世界人口が原因で人類の経済活動が引き起こすエネルギ・環境の緊急課題の解決策、そこに於けるバイオマス資源、再生可能エネルギの果たす役割と重要性、また、急激に増加しつつある世界人口を維持する為に必ずや近い将来に到来するであろう食糧問題への対応など、人類を取り巻く現状を解説・紹介し、どのような対応をすべきか、特に地球温暖化が人類の経済活動が故に多量の化石燃料の利用から排出される炭酸ガスにあることから、低炭素社会、低エントロピー社会の構築が持続可能な社会の構築につながることを説き、進むべき方向とその方法としての再生利用可能エネルギの開発と利用について政策的な見地も含めて講義している。すなわち進むべき方向を要約すると次のようになる。講義の内容としては筆者が提唱しているグローバル・テトラレンマを序論とし、急増する世界人口が原因で人類の経済活動が引き起こすエネルギ・環境の緊急課題の解決策、そこに於けるバイオマス資源、再生可能エネルギの果たす役割と重要性、また、急激に増加しつつある世界人口を維持する為に必ずや近い将来に到来するであろう食糧問題への対応など、人類を取り巻く現状を解説・紹介し、どのような対応をすべきか、特に地球温暖化が人類の経済活動が故に多量の化石燃料の利用から排出される炭酸ガスにあることから、低炭素社会、低エントロピー社会の構築が持続可能な社会の構築につながることを説き、進むべき方向とその方法としての再生利用可能エネルギの開発と利用について政策的な見地も含めて講義している。すなわち進むべき方向を要約すると次のようになる。
1) 気候変動が深刻な地球温暖化を産みだしているが、その源は人間の際限のない経済生産活動で多量の化石燃料が費やされ、それらが燃やされた結果出てくる炭酸ガスが温暖化の原因とされている。しからば炭酸ガス排出のない、あるいは少ないエネルギを見いだし利用する必要がある。その可能性の一つに再生可能エネルギがある。どうしてもエネルギ生産の過程で炭酸ガスの排出を抑えられない場合は、逆に炭酸ガスの積極的利用も対応の一つである。 
2) 最終的に利用するエネルギの形は、現時点では電気エネルギに向かっている。多くのエネルギ資源が考えられ模索されているが、それらの資源からのエネルギ生産にはEPR (Energy Profit Ratio) が大きいことが条件となる。即ち投入したエネルギに対して得られるエネルギの割合が1以上でなければならない。この条件を満たすエネルギ資源、あるいはそれを利用したエネルギ生産システムを探す事が課題で、現在多くの試みがなされている。 
3) エネルギ資源を選定すると同時に、最終的な電気エネルギを得る為の最適生産システムが必要となる。すなわち効率の最大化である。 
4) 持続可能の概念は閉鎖系システム内での連続・循環であり、一時的にシステムのループの一部で滞りがあるとシステムは機能しない。具体的には炭酸ガスの固定や原子力の廃棄物の格納などがそれにあたる。格納・貯蔵してもその後の処理が追いつかず、一方的にその量が増えるのでは意味を持たない。したがって固定ではなく、循環させるシステムであることが必要である。 
5) 世界的人口の急激な増加をカバーするには更なる食料増産が急務である。しかし1960年代から1990年代の30年間を見ると世界の耕地の増減は殆どない。新しい農地の開発の一方で、そうした開発地が侵食などで消滅していて今後も開発による耕地の増加は望めない。世界人口は増加の一途を辿っているが、食料生産量も増えている。この増加は農地の増加ではなく、食料生産技術が向上したと理解される。さすればどうするかと言うことになるが、可能性の一つは土地空間の3次元的利用である。高層構造物の建設が可能な現在、天高くあるいは地下深く空間を利用して食物生産をする。具体的な提案の一つにグリーン・フロートがある。土を用いず水耕を主軸とした植物工場も期待は大きく実用化への最短距離にあると言えよう。 
6) エネルギ生産も従来の中央集中型から地方分散型へと移行する。太陽光からの発電効率が向上した今、必ずしも生産現場の近くにエネルギ源が無くてもよい。地下での食料生産では光がないから光合成が出来ず育たないので、地上で太陽光発電し送電して人工光をあてればよい。また砂漠地帯ではさんさんと降り注ぐ太陽光を十二分に利用して発電し、その電力を利用すればよい。

●ビジネス・アドミニストレーション学部での講義
チェンマイ大学にある社会科学系学部の一つで、毎年5~6時間ほど(時にはほぼ1日中)集中講義的に「日本の文化・伝統、マナーやエテイケット」について講義している。報酬もなく全くのボランテイアである。授業の形式はBA (Business Administration) 学部の講義担当教員と一緒に上記の内容について講義を担当するが、実質は筆者一人が中心的に講義する。事前に担当教員より入手した講義内容の素案に基づき、筆者が全面的にパワーポイントで資料を準備し、英語で講義する。チェンマイ大学には他にも日本事情関係を教授し、知識を深める交流部門があるが、理系の筆者の経験から見た日本観を英語で講義するところが他者といくらか異なる点であろう。筆者は在職時代にも海外からの留学生を自らの講義に招待し留学生の出身国を紹介するプレゼンを依頼し、英語でのコミュニケーション、プレゼン資料作成・講演技能の向上、日本人学生と留学生との相互理解・友好推進を試みてきた。筆者にとってもあらためて自国を深く理解する機会とも成ることもあって、新しい資料作りに積極的に専念して臨んでいる。同じ仏教国でも日本では既に忘れ去られている事がタイで発見でき、あらためてその精神を再認識させられることも多い。例えばタイでは仏教が生活に根ざしており、国民の休日も王室に関わるもの、仏教に関わる者、一般の祝日の3種類から成っている。日本では仏教と神道が共存している。その端的な一例は、家にはあたり前のように仏壇があるが一方で神棚もある。仏教と神道の違いを実際の生活でどのように異なるかは日本人でも説明できる人は少ない。講義でこの話をするときはおもしろく、経験から得た自分なりの説明を施している。講義は学部学生が対象なので、学生達が自分の講義をどの程度理解しているかは定かではないが、担当教員との協力授業であるため理解不足の部分については補足が可能であるので不安はない。ここでも配付資料は準備せず、使用したパワーポイント・ファイルを講義終了後にそのまま気前よく供与している。言うまでもなく課題提出を所定の期限までに筆者宛にメールで送信するべく義務づけている。

講義3.png講義4.png
このページの先頭へ戻る