会員活動報告
ホーム > 会員活動報告 > 現地報告:アフガニスタンの稲 その1(狩野 良昭)

現地報告:アフガニスタンの稲 その1(狩野 良昭)

本年5月まで、2年間、JICAのアフガニスタン稲作振興支援プロジェクトに従事する経験を得たので、数回にわたってアフガニスタンの稲作事情について書いてみたい。 日本人のアフガニスタンという国へのイメージは、山岳地帯が多く遊牧民族が多いとか、タリバンとの戦争で今なお内戦が続いているとか、少し歴史や仏教に関心のある人ならタリバンに破壊されたバーミヤンの大仏(磨崖仏)のこととか断片的にしか知られていないようだ。 日本の1.8倍の国土を有するが図1のように、多くは標高2,000m~4000mの山岳地帯である。灰色の部分は3,000m以上の高地であるが、ヒマラヤ山脈までつながるヒンドゥークシ山脈の西部を形成している。(北東部には標高のもっとも高い海抜7,485m のノシャック山がある。)この国土に2,800万人の人々が住んでいる。人々は渓谷での水を利用した小麦、果樹、野菜等を栽培し、また山岳地帯では牛、羊、山羊の遊牧も行われている。降雨量は年平均300-400mmでしかも、冬に降雨が集中し、夏作は灌漑設備がなければ栽培は困難である。 アフガン地図(狩野)2.jpg このような国に稲が作られているの? と疑問を持つ方も多いと思う。冬に山岳地帯に降る雪は、春になると溶けてヒンドゥー・クシュの中心山系から図のように4方向に流れだす。つまり東流してインダス 川に合流するカーブル川(図の1)、北流してウズベキスタンからロシアのアラル海に流れるアム・ダリア(図の2)西流してカラ・クム砂漠に消えるハリ・ルード川(図の3)そして、南流してハムーン沼沢地に消えるヘルマンド・アルカンダブ川(図の4)の4つの川になる。これら河川の標高1,200m~400mの流域は水があれば気候的に稲の栽培条件を満たしている地帯であり、夏作の重要な作物として稲作が行われてきた。近年では約20数万haに稲が栽培されていると見込まれ、45万t前後の生産(但し籾重で)がある。アフガニスタンの主食は小麦から作るナンというパンであるが(年間の生産量は年変動が大きいが300万t~400万t)、稲は小麦に次ぐ第2の重要穀物である。JICAは復興支援の一つとして稲の増産を目標に、ナンガルハール県において稲作プロジェクト(RIP)の協力を2007年9月~2011年3月に行い、農民の展示圃場で在来技術と比して2~3倍増収となる技術を確立した。(なお、このRIPには当IFPaT会員の太田さんがチーフアドバイザーとして活躍した。)                   次号に続く
このページの先頭へ戻る