会員活動報告一覧
大学放浪記(54)
伊藤信孝
マエジョ大学客員教授・国際学部
本報では「研究論文」について記述する。周知のように論文は研究者、学術関係の仕事を主たる仕事として生きていく大学の教員、企業のエンジニア、或いは公的、私的学術研究機関で仕事をしていく人にとっては将来を左右する、大きな生命線である。特に大学の教員として身を立てるには学位を保有していないと応募資格すらなく、極めて難しい。しかも和文でなく英文でそれなりの基準をクリアして掲載された論文がいくつあるかと言う、まずは総編数が評価の対象になる。ここで言う基準とは、投稿した論文に関する専門家、あるいはその道の権威、またはそれに極めて近い専門家として選ばれた複数の閲読者(一般に2人)の評価に耐えた論文のみが掲載されるから。
大学放浪記(53)
伊藤信孝
マエジョ大学客員教授・国際学部
2019年の暮れに日本に一時帰国して、翌年1月7日にタイに戻った。折しもコロナ禍が話題になりかける時である。それ以後事態は深刻になり、ロックダウンや、自宅勤務、オンライン、予防接種など矢継ぎ早にいろいろな対応が必要となった。予防接種しても良くなるのかどうかと言う見通しは不透明で、事態の推移に応じて対応するよう行政指導が行われた。タイ国内の州境を超えた移動も制限され、海外渡航は当然禁止となった。2020年の9月末を持って学部長の任期2期の修了でコンケーン大学に移動する事になったが、コロナ禍の状況は改善の兆しも無く、折角受け入れをして頂いたコンケーン大学でもオンライン授業(といっても回数は少なく特別講義で学部生や院生への講義が数回もあっただろうか)で大学に行っても人っ子一人居ない様な状況であった。
大学放浪記(52)
伊藤信孝
マエジョ大学・客員教授 国際学部
本報では、自転車に関する話題を取り上げる。自転車はタイ国内では主要な移動手段では無く,もっぱら車やバイクなどが圧倒的に利用されている。公的交通機関もそれほど多く利用されている訳でもなく、遠距離では飛行機、自動車(自家用車)がその大半を占める。米国に似て,車社会であり、公共交通機関は余り普及していない。一般にセダン(乗用車)が普通であるが、次いでピックアップ型トラックの普及も多い。これも米国に似ている。一般の庶民の足代わりにはバイクが用いられている。
タイ北部の煙害その3(大学放浪記・号外)
タイ北部の煙害(大学放浪記・その3)
伊藤信孝
マエジョ大学客員教授・再生可能エネルギ学部
前回及び前々回、掲載文が長文となることを理由に、分散掲載をさせていただくとお伝えしましたが、2度で終われませんでした。長文ではございますが、全体を通して、皆様への問題提起になれば幸いです。(章立てNo.が連載のためのものとしてご了承ください。)
https://npoifpat.com/activity-report/post_86.html https://npoifpat.com/activity-report/7_1.html
6.環境教育研究の必要性
化石燃料の大量消費で炭酸ガスの排出量が急増し、それが地球温暖化の原因になっていると言われ、炭酸ガス排出量を削減すること、エネルギ資源も化石燃料からバイオマスへのシフトが叫ばれた。しかし炭酸ガス排出の原因は必ずしも車や工業生産工程で出るもののみではなく、家庭ゴミとしての廃棄物、腐食した水や食品残渣、山火事など多岐に亘る。タイの場合、特に研究対象の北部地域では、広域の森林の焼却が大量のCO2排出した事を示すデータがある(既述のメチャン地区での国有林の焼却。表1~表3参照)。
タイ北部の煙害その2(大学放浪記・号外)
タイ北部の煙害(大学放浪記・号外その2)
伊藤信孝
マエジョ大学客員教授・再生可能エネルギ学部
本報は、前回、掲載文が長文となると判断し、前回の現状分析につづき、真の原因を探った結果をお知らせし、皆様にも環境問題について、問題提起になればと思う次第です。(なお、章立てNo.が連載のためのものとしてご理解ください。)
https://npoifpat.com/activity-report/post_86.html つづく
3.データで見る煙害の本当の原因
以後5年~7年と月日が経っても煙害の問題は時の話題にはなるが、何の解決策や対応も成されぬままに時が過ぎて、問題そのものが拡大してきているとも言えよう。馴染みの院生が数字で埋め尽くされた一枚の表データを持ってきた。よく見るとチェンマイ県のメチャンという地区の年度別ホットスポットの数を示したもので、どのような産業分野でその数が多いかをカウントし、まとめたものであった。行政サイドが出した公式データであり、期待に満ちた確信で注意深く数値に目をやると、驚きの内容であった。
タイ北部の煙害(大学放浪記・号外)
タイ北部の煙害(大学放浪記・号外)
伊藤信孝
マエジョ大学客員教授・再生可能エネルギ学部
本報は日本でもタイ北部の煙害は報道されていたが、よくよく原因を見て着ると、新規農地の開発のために国有林への不法侵入した心ない人達による山林の焼却が原因である事が判明した。
1.煙害の背景
タイの煙害の地域は次のように要約される。図1は煙害の被害を被っている主要地域を示す。,大きく分けて3地域が有り、それらは首都であるバンコック、コンケン、タイ北部(チェンマイ、チェンライ、メホンソン)である。煙害が生じる原因はバンコックでは自動車の排気ガスおよび走行時の粉じん、日常生活からの廃棄物や河川の汚染に基づく有害悪臭ガス、コンケンでは農産廃棄物の焼却処理、例えばサトウキビの茎葉など農業生産に関係する処理の不十分が原因と言われる。