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ブータンの農業機械化(1) 大石常夫(ブータン王国農業機械化センター)

昨年8月に始まった国際協力機構JICA「ブータン王国農業機械化強化プロジェクト(フェーズ2)」に、プロジェクト開始当初から業務調整/農業機械専門家として従事しています。ヒマラヤ山脈の東端にある「最後の秘境」ブータン王国での活動について報告します。

 

ブータン王国は、九州程度の面積に約70万人が住む小さな国です。国土は南部の標高100mから北部の標高7000数百メートルの地域にまで広がっていて、その大半が山岳地域です。そのため、農業が国民総生産の約17%、労働人口の約6割を占めているにもかかわらず、農地は国土面積のわずか3%程度で、その大半は傾斜地にあり、圃場の面積は小さく、生産性が低いという問題を抱えています。

 

日本によるブータンの農業支援は、故・西岡京治氏が海外技術協力事業団(現・国際協力機構)のコロンボ・プランの農業指導員としてブータンに赴任した1964年まで遡ります。そしてブータンの農業機械化の歴史は、日本による農業機械支援の歴史と重なると言っても過言ではありません。筆者が所属する「農業機械化センター(Agriculture Machinery Centre:AMC」も1984年に日本の無償資金協力によって設立されたものですし、過去30年間に「貧困農民支援(旧・食糧増産援助)」無償資金協力支援により、累計25回の支援がなされ、その供与金額は累計で約60億円におよびます。その供与のほとんどが耕うん機と付属する作業機です。

 

筆者が関わっている本プロジェクトは第2フェーズになります。第1フェーズは2008年からの3年間実施され、「貧困農民支援」で供与された耕うん機のスペアパーツの供給体制の構築、適正かつ安全な農業機械の運転利用と維持管理に関する農業普及員や農家への指導、農業機械試験法の作成などを行いました。そして今回の第2フェーズでは、(1)過去に作成された試験法を国家認証標準の作成へと進めること、(2)国家認証標準を元にした農業機械の品質管理と安全対策の体制づくり、(3)現地の圃場条件に合った農業機械の開発・改良と作業パターンの見直し、(4)農業機械を購入できない貧困農家が機械を利用できるための作業受託サービスの充実の4つを活動の柱としています。

 

筆者は主に上記活動の(3)と(4)に関わっています。現在作業受託サービス関連活動として、春の田植えシーズンを前に、プラウによる耕起や代かき作業が行われています。この春から東部地域にて地方自治体との共同作業受託サービスを展開するため、耕うん機オペレータの育成研修をプロジェクトが支援をしています。(続く)

 

小圃場での耕うん作業受託サービス小.jpg 耕うん機運転研修(代かき3)小.jpgコンバイン圃場試験小.jpg エンジン試験小.jpg
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